――八月の二十三日、火曜日。
当レポート制作班のK、Tの両名は夏の日差しが降り注ぐ内浦の地へと訪れた。
本日の目的は近日、連日にわたって大盛況の松月という甘味処への取材。
忙しい中、定休日にも関わらず我々二人のために時間を空けてくれたのである。
――午後四時、店を訪れた我々を迎えてくれたのは
当店三代目店主の瀬川公伸さん。
名刺を交わし、席に着き、ここに取材が開始された。
☆甘味処松月について――
瀬川さん
「私で三代目になるんですけれども、もともと松月は祖父が立ち上げたお店で、元々は裏の通り、旧道の方がメインの通りで、そこに店があったんです。
今この店があるこの道、昔は海だったんです。それが埋め立て地になって。
今から十四年前に機会があって、この場所にお店を建て替えたんです。
二十の頃にお店を継いだんですけれども、東京の方でもともと洋菓子を学んでいまして。本格的に和菓子を学んだのはこっち(沼津)に帰ってきてからですね」
☆現在人気商品について――
♦みかんパウンドケーキについて
瀬川さん
「みかんパウンドケーキのほうが先に生まれたんですね。おおよそ十年前くらいにこの地域名産の寿太郎みかんを使ったお菓子を作ってほしいとお願いされまして。
生産農家の奥さんのグループがあるんですが、そこで元々みかんを使ったパウンドケーキをイベントとかで出していたんです。
それを元に、ウチで新しく作りまして、それが寿太郎パウンドなんですね
元々はこの大きい方のパウンドケーキでやっていたんですけれども、お客さんからの要望があって、ミニパウンドの方も販売し始めたんです」
♦みかんどら焼きについて
瀬川さん
「どら焼きの方は、特産の寿太郎みかんを使ったのがパウンドケーキ一つだけじゃなんというか
惜しいなということで、パウンドケーキが洋菓子だから、じゃあもう一つ和菓子から何かをって考えたんです。
そこでですね、前々からうちでは
どら焼きが評判よかったのでどら焼きのあんこにみかんを練りこんで作ったんですよ
☆ラブライブサンシャインとの関係――
♦いつごろからお店のオファーが来ていたのか
瀬川さん
「前の取材(新聞など)でもお話ししたんですけれども、どういう形でオファーがあって、どういう形で実現したのかについては、はっきりと覚えていないんです。
元々そのアニメが何だかわからないし、アニメに興味もなかったもので……
しかしだんだんとお客さんが増えてくるようになって、うちがどのように使われてるんだろうと気になることもありましたね。
お客さんからは『三人の女の子がここで働いてるんだよ』って話を聞きまして、自分はアニメでそういうシーンがあるのかって思ってました。
だから雑誌で情報が載ってたとか、アニメの前にCDが出ていたなんて話も全然知らなくて。
それで、件のCDが発売された後、ファンの方からCDをいただきましたけれども……申しわけないことにずっと聞いてこなかったんですよ。
だんだん盛り上がってきたときにようやく聴きまして、そこでどんな形で登場してるか知ったんです」
♦いつごろからファンサービスが行われたのか
瀬川さん
「ある時ファンの方に『ここってアニメ感が全然ないよね』って言われまして。
最初は『何言ってるんだろう?』って思ったんですけどね、三ノ浦総合案内所さんの方でいろいろ飾ってますけど、最初の方はなにを飾っているかわからなかったですし。
でも、次々といろいろなところからお客さんが来るようになって、ウチもかかわっているというのもあって、ファンの方々にアドバイスをもらいながらコーナーとかも作ったんです」
♦新商品カンカンみかんタルトについて
瀬川さん
「カンカンみかんタルトは完全に思い付きで出た商品で。
なかなか忙しい中、色んなケーキが試作できなくなってしまったので。
でもタルトなら、生地を焼いておけば使えるので、本当にみかんが好きならと。
8/1が千歌ちゃんの誕生日なので、それに合わせる感じで売り始めました」
☆アニメで盛り上がるまでは――
瀬川さん
「アニメで盛り上がる前は、『何かしなくちゃ、何かしなくちゃ』とそれぞれみんな口では言うんですけど……結局何をしていいかわからなくて。
でも、それで盛り上がった今も、地域としての盛り上がりは『これでいいのかな』と思うこともあります。
でも、今のことをとにかく、一言で言い表すなら『アニメの力はすごいな』っていうことですね。
もうそれしか出てきません」
☆ファンの人達――
♦ファンの熱意
瀬川さん
「前々から熱心なファンの方が、『彼女たちの誕生日を祝うためにバースデーケーキを作ってくれ』と注文していてですね。
その時にキャラのことを知らないままじゃいられないなって思ったんですよね、『知らない』って言ってられないなって。
皆さん本当に凄いですよね、毎週遠いところから、いろいろなところから訪れてくれて」
♦お店の現状
瀬川さん
「前々から土日にお客さんが多かったんですけど、七月位からドカッと増えて。
お盆とかいろいろなイベントと重なるのもあって、作れば売れる状態で製造が間に合わなくなるほどです。
みかんどら焼きやパウンドだけじゃなくて、ほかの商品も買ってくれますし。
製造が間に合わないのもあって、三時四時には品物が売り切れちゃうから開けててもお客さんに申し訳ないので、今(八月当時)は早いけれども五時閉店にさせていただいて、開店の方も一時間遅くさせていただいています。
喫茶コーナーの方も、アニメで使用されてからは待ちの方が多くなりましたね。」
※現在も営業時間は短縮中である
☆これからの展開――
瀬川さん
「これからなんですけれども、コラボしたお菓子をいろいろ、考えている最中で。
はっきりとは言えないけれども、キャラクターのイメージに合わせたものを作ろうとしています。基本は寿太郎みかんを使いつつで。
できるだけ、お客さんに喜んでもらえるようなものを作っていきたいです」
☆最後に――
瀬川さん
「一度、来たことない方も含めて寄っていただければと。
寄っていただければ内浦の良さを発見できると思いますので、ぜひ内浦に訪れてみてください」
瀬川さん、ありがとうございました!