取材録・安田屋旅館

9/15 11:00
我々取材班のKとTの両名が向かったのは、老舗旅館としても名高い安田屋旅館。
アニメ放送も終盤に差し掛かり、忙しい中の準備時間。
そんな時間に我々を快く迎えてくれたのは若女将の安田麻紀さん。
Kの変に堅苦しい挨拶もそこそこに、取材が開始された。

 

☆アニメについて

・制作側からのオファー

安田さん
少なくとも今年ではないですね。
それより前に、旦那の方にあちらから≪舞台にさせてもらいたい≫と話が来たので、≪使ってもいいですよ≫って感じに返したと聞いています。
その時に人気アニメだとか、そういうことは知りませんでしたね

 

・アニメに登場したことについての感想など

安田さん
ドラマ、映画、CMなどでここら辺が使われることは結構あったんですけど、アニメファンの人たちが一、二か月先までも押し寄せることは頭になくて。
最初はアニメ放送から終了までの間だけなのかなってイメージしてたのですけど、七月のアニメ放送前、六月ごろからちらほらとアニメファンだよって感じのお客さんが増えてきてて、九月以降も予約が多くなってます。
アニメ放送が終わってから全部回るつもりだっていう人の話は聞くので、おそらく今年いっぱいは足が絶えないのではないかなと思いますね。
でも沼津という土地を若い人たちに知っていただけて、来ていただけたということは活性化にもつながるので、ありがたく思っています

 

・来年以降の見解

来年以降もお客さんは絶えないよ。って声と、来年以降はお客さんが減るよ。って両方の声があってですね。
どのように対応していったらいいのかということには悩んでいてですね、スタッフの増員などとか。
今までに何かの舞台になってこれだけ人が来てくれる。という前例がないので、ウチだけじゃないけれども対応に困っているところが多いと思います

 

☆ファンとの関係

・ファンの宿泊客について

安田さん
皆さんネットにすぐ口コミを書き込んでくれたり写真を挙げてくれますから、私たちではなかなかできないことをしてくれて、とても助かっています。
何を書かれているか、それが時々怖くなる時もありますけれども(笑)
でも、その分気が引き締まりますし、いいことを書いてもらえるようにお客さん一人一人にしっかり対応していきたいです

 

・ファンに関する不安他

安田さん
個人的には、感じることはそこまでないです。
ただ、ウチの息子も通っている長井崎中学校の方で、敷地に入っちゃう人がいたり、通っている子供が怖がってしまっているなどという話はちょっとずつ聞きます。
もちろんアニメに出てきているそこを撮りたい、行きたいっていうファンの方々の気持ちもわからないわけではないです。
でも、こういうことがあると子供を送り出す親としては少し不安になりますね。

他には……ウチに泊まっている一般のお客さんの中でも家族連れの方々とかは、隣の部屋が男の子ばかりで――見た目がいかついわけではないから『そういう怖さ』ではないけれども、圧迫感というか、男の子ばかりの場所で≪わたしたちだけ女だったことが少し怖かった≫という意見をいただくこともありますね。
これについては、最近HPの最新情報で≪こちらアニメの舞台になっています、アニメのファンの方でにぎわっています≫といった旨を、アニメファンではないお客さん向けにお知らせしています。
これを見たうえで、≪じゃあこの時期は外そう≫とか、≪それでも泊まりたい≫と理解を得られるように取り組んでますね。

あとは、地域のおじいさんなども、急に若い人たちが訪れるようになったことを少し怖く感じている人もいるのかなと。
全然怖いことをする人たちじゃないとわかってしまえば大丈夫なんですけれども、今までが若い子たちでにぎわうような街ではなかったので、そのギャップに戸惑う人たちがいるのかなということは感じますね

 

・ファンがしてくれたこと

安田さん
海辺のゴミ拾いをしてくれるファンの子たちがいますよね。
聖地を綺麗にしようという運動をしてくれていたりする人たち。
家族連れの方たちが綺麗な海で泳げたりしてくれたのもこういったファンの方たちによるおかげですね。
なので正直、悪いことや困ったことなどよりは、いいことをしてくれた方が多いし、大きいですよね。悪いことはあんまり目につかないです。
これからもそんな人たちだけでいてくれればうれしいんですけれども、中にはハメを外す人たちもいるらしいので避けてほしいなぁとは思います

 

ここで、営業回り中であった三津郵便局局長 山下清文さんが偶然にも来店。
彼は先日の三ノ浦総合案内所さんや松月さんでの取材中にも偶然遭遇している。
ここから先、我々は彼を交えて取材を行った。

 

☆山下さんについて

・取材時にお会いするのもこれで三度目ですね

安田さん
まぁ、会うの三度目なの?

山下さん
そうね、案内所の時は俺が大村さんに呼び出されてね、着いたときは取材は終わっていたころだけど。二回目が松月で、※卯月君を連れてた時に彼ら(K、T)がいてね
※静岡県六区の衆議院議員『勝俣孝明』氏の秘書、『卯月輝』氏のこと。

安田さん
そうなの……頼りになるんですよ、この人。ここの住民で一番この地域のことが好きな人だと思う

山下さん
いやぁ、ただアニメが好きなのかもよ?

 

一同から笑いが巻き起こったところで再びファンについての話題へ。

 

☆ファンとの関係2

安田さん
悪いことしていく人は今のところいないと思います。むしろね、忘年会シーズンで変な酔い方して障子壊して行くだのね、そんなことするひともね?

(山下さんを見つつ)

山下さん
そうだね、うん、酔って畳に吐いたりとかしないもんね

(目を反らしながら)
※山下さんが下手人だそうだ

 

安田さん
そういうことしていく人は見ないですからね。
マナーよくご飯を食べて、無茶な酔い方もしないし。
あるときは、予約当時が未成年だったお客さんがいて、法律の問題でお酒の提供ができないって話だったのだけど。当日≪予約当時は未成年だったけれども二十歳になりました≫って言われまして。
こちらとしても確認しなければならないので、≪身分証明書を見せてほしい≫とお願いしたところ、わざわざ宴会所から部屋に身分証取りに行ってくれたんです。
普通なら逆ギレしちゃうような子がいると思うんですけど、そんなこともなく快く答えてくれるような子たちなんです

 

☆沼津について

・おすすめのスポットがあれば教えてください

安田さん
大瀬は行った方がいいよね。※神池――シンイケ? 読み方どっちだっけ

※かみいけと読むのが正解。

 

安田さん
淡水の池なの。すぐ隣が海なのにそこは淡水で、パワースポットにもなっているんです

※大瀬崎は『沼津の宝百選』という沼津の見どころにも選ばれている場所で、G’sマガジンにも一度大瀬崎らしき場所が使用されているそうな。

山下さん
あとは気多(キタ)神社とか。気多神社はそうね、よく※ドラマの撮影をしているの。昔は寅さんが撮影してたらしいよ

※つい最近だと竹内涼真氏主演の『時をかける少女』がある。

安田さん
あと長浜城跡は絶対行った方がいい!ここに来たなら一回登ってほしいですね

 

山下さん
アニメにも出たしね、一番上のところ。あとは……※発端丈山かな? あれもあそこから撮った写真が使われているらしいし。あとは重須に湧水があるところがあった

※1stシングルのMVにて登場。複数ある登山道のうち特定の場所から登らなければこの絵は撮影できないそうだ。

 

☆安田屋旅館の取り組み

・今後について

安田さん
今後なにやってくかについては――全く考えてないです。今までのイベントなら、年に三回欠かさずやっています。
秋は落語、もしくは三味線を十年くらいずっと続けていて、文化の日か前後か。
春は春で、今まではお雛祭りということでやってて、来年はまだちょっと考えています。
これがウチの二大イベントですね。
あとは太宰さんが『斜陽』を書いた場所として有名なので、太宰治生誕祭というものを毎年誕生日前後の日曜日にやっています。
太宰さんのファンは多いので毎年来てくれる人がいるのでありがたいです。

……新しいことなにしたらいいかね?
山下さん
アニメファンの集いで、年に一回だけとかでやってみてもいいんじゃない?
安田さん
……やっちゃう?

 

・日帰り入浴について

安田さん
昔からやってるんですよね。温泉がもともとはうちだけだったんです。
なかなかこの地域で温泉に入れなくて、だからたぶん日帰り入浴を始めたんだと思います。
今では松濤館さんにも温泉がありますね

 

☆最後に

・このレポートを見てくれる人たちにメッセージだけでも……

山下さん
≪私も……内浦のファンなんで、私に会いに来てね≫とか――ダメ?

安田さん
意味が分からない! ダメだよそれ絶対!
気を取り直してリテイク
安田さん
沼津にお越しの際は、あったかい人がたくさんいる内浦に寄って行ってください!

 

安田さん、山下さん、ありがとうございました!